丁寧な解説が秀悦!共通テスト対策が初めての生徒でも分かりやすい別冊付録付の演習問題集
最終更新日:2022年12月26日
- おすすめしたプロフェッショナル
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脇淵良太 / 松商学園高等学校
大学入学共通テスト 英語[リーディング] 傾向と対策 Trial 40
昭文社
- おすすめのポイント
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Q. 良かったところ
別冊付録『傾向と対策ファイル』がとてもよくできており、高3で初めて共通テスト対策をするレベルの生徒に向けての解説がとても丁寧。共通テストがまずどのようなものなのかというところから、第1問の出題傾向や過去に出題された問題、来年度の予想まで事細かに掲載。解き方のポイントとして、第1問はこのような癖があるからこのようなところに注目しましょう、というように手引きのような形になっていてとても分かりやすい。
他社の教材には、演習問題の解説が丁寧で良いものもあるが、その演習問題に入る前の共通テスト自体の解説が、本教材はとても優秀だと思う。
解答・解説も丁寧で、1冊目として良いレベルの解説内容。
Q. 困ったところや改善してほしいところ
教材冊子のデータがPDFなどで提供されると、授業内で解説しやすい。
授業では使わないが、音声があると、生徒が復習するときにより便利だと思う。
Q. 導入の経緯や、本教材採用の意図と狙い
問題/課題:
大学入学共通テストの対策教材として例年何冊か使用しているなかの一つ。年度により使用教材は多少変わるが、旺文社さんのものはセンター試験時代から使っていることが多い。今年度は、高3の文理コースと特進コースに、夏休み明け9月から本教材を導入した。共通テスト受験者が多いが、高3といえども模試の回数が格段に多いわけでもなく、演習量が絶対的に足りないので、それを補うために演習問題として取り入れている。
状況(クラスの人数やレベル):
高3の特進コースと文理コースで使用しているなかで、受け持っているのは文理コースの2クラス。1クラス40人弱で、国公立大学や難関私立大学を目指すレベル。
他の類似教材ではなくなぜこれか:
本教材は共通テスト5回分で、数が少ない。そのため、本教材だけを選んだわけではなく、他社の教材も含めて計4社分使用しているなかで、最初に取り組む教材として選んでいる。「良かったところ」に挙げたように、共通テスト対策が初めての生徒向けの解説が秀逸なため、本教材を1番目とした。
本教材にまず取り組んだ後、他社の演習問題も使用していく。今年度計画しているのはあと3社分で、ここまでやっている学校は少ないと思う。今までは多くても2社だったが、量が圧倒的に少ないと感じており、近年増やしたところ。共通テストまで半年という高3の9月頃は、文法事項を教わる時期ではなく自分で演習問題を解いて、自分で分からないところを明らかにしていく段階のはず。授業で特段文書の解説もしない形になっていて、とにかく演習量を増やそうと考えている。その最初の入り口として丁寧に、共通テストがどのようなものなのか解説したいので、本教材であればその解説も演習も1冊でできて一石二鳥。
Q. 教材の構成(全体構成、単元ごとページ構成)
問題編(180ページ)、解答・解説編(120ページ)、別冊付録『傾向と対策ファイル』(112ページ)の3冊セット。実際は80分の共通テスト予想問題を、授業時間内に取り組めるよう、40分ずつテストA・テストBの2つに分けている。
解説書と一緒になっているものもあるなかで『傾向と対策ファイル』が生徒用に付録のような形でしっかり独立してあるのが魅力的。
Q. 実際の使い方 (どこを、どの程度のペースで等)
進め方(年/学期単位、授業単位):
本教材を使用する授業は週に3コマあり、進度は1週間でテスト1回分が終わるペース。演習問題ばかりやるのもあまり良くないため、2コマでA・Bを解き、残り1コマで解説を入れるなどしている。解説すべき点がない場合は解説なしでどんどん演習を進める。1冊(共通テスト5回分)が、1ヶ月強で終わる計算。
1コマ50分授業の進め方は、40分で問題を解き、残りの10分で生徒が各自採点し解答解説をよむ。授業後、回収した生徒の解答用紙から点数をエクセルに入力する。そして大問ごとの平均点を出して傾向をつかみ、弱いところを、次の授業で都度解説して補完している。解説の授業では、問題の解説は『解答・解説編』に載っているので、それを読んでも分からない生徒がいればかみ砕いて説明したり、第2問の間違いが多かったら、過去の模試の第2問を例題として持ってきて解き方を解説したりする。
指導する上での工夫:
個人的に行っていることとしては、解説する際、教材を取り込んでPDFにしたものをiPadに入れてプロジェクターで投影し、書き込みもiPad上でしている。文章量的にも現実的ではないし板書時間はとても勿体ないので、疑似的にデジタル教材のような形にすることで指導しやすくする。
演習問題集なので工夫の余地はあまりないが、別冊付録『傾向と対策ファイル』を適宜使うことは工夫している点かもしれない。解答率の悪い問題があれば付録の解説を再確認するなど、付録を最大限利用しながら教えている。
Q. 使ってみた結果
今年度は9月末の現時点で、10回分のなかの6回分(実際のテストでは3回分)を終えたところ。生徒により様々ではあるが、しっかり自分で解答解説を読んで都度自分の苦手分野を克服してきている生徒は、第1回と比べると5点や10点くらい上がるなど、若干成績が上がった生徒が多い印象。もちろん上がったり下がったりするものなので、点数の上下であまり一喜一憂しないようにとは言いつつ、全体的にクラスの平均点も伸びてきているという結果も生徒に伝えて、今後も頑張ろうねと話している。
Q. 利用が向いていると思われる学校・クラス・生徒
国公立大学や難関私立大学を目指すレベルの生徒がいる学校・クラスにマッチする。国公立に限らず、私立大学の入試でも共通テスト利用ができたり似た問題が出ることもあるので、そのような生徒も使えるかもしれない。
Q. 個人的にあまり合わないと思う学校・クラス・生徒
当たり前だが、共通テストや難関私立大学を受験しない生徒には意味がないと思う。
- 脇淵良太
- 松商学園高等学校
プロフィール
2012年~松商学園高等学校 英語科。2014年信州大学大学院人文科学研究科修士課程を修了。専門は英語学・認知言語学。2022年現在、松商学園高校英語科主任。特進コースを担当。