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他教科で得た知識を統合して英文読解する楽しさを!

最終更新日:2023年6月12日

おすすめしたプロフェッショナル

山本 永年 / 市川学園 英語科・国際教育部長

目次

  • The Little Book of Big History

The Little Book of Big History

Pegasus Books

おすすめのポイント

ビル・ゲイツとデイビッド・クリスチャンが関与する「ビッグヒストリー」を記した本著は、地球の誕生から現在までの138億年の全体を見渡すことができます。人類の営みに焦点を当てたいわゆる「歴史」に分類されない、物理学や化学、生物学といったありとあらゆる学問を統合して学ぶ大切さを実感できます。「ビッグヒストリー」を扱った本は日本語・英語に関わらずたくさんありますが、本書は1テーマの英文の長さや難易度が絶妙です。このテキストは、有志生徒が参加するゼミで扱っています。この1冊を通して、生徒の知的好奇心を刺激し、文理の垣根を越えた学びをする生徒に育っていると思います。

Q. 対象としたクラスの特徴(学年、人数、授業目標等)

通常授業ではなく、希望生徒を対象とした自主ゼミで利用しています。「ビッグヒストリーゼミ」という名称で6年前にスタートしました。週に一度、放課後に集まり、基本的に生徒が主導しています。「学びたい」「本書を一緒に読みたい」という生徒の意欲を大切にしているので、出入りは自由にしています。

参加者は私が担当している現高1がもっとも多いですが、特に学年で制限を設けているわけではありません。参加者が興味のありそうな先輩・後輩・友達に声をかけて集まっているような形です。

参加人数はその日によって違いますが、多くて10名程度。40名など大人数になると「授業」になってしまうので、今のスタイルを継続するにはちょうどいいサイズです。

Q. 課題意識、導入の経緯

本校では「洋書週間」を設けて、多読の機会を作っています。読む本は生徒が選ぶので、中学生の間は易しく読みやすいものが中心です。しかし高校生には、一般の大人向けの本を、1冊通して読み切る体験にもなると考え、本ゼミを開講しました。

単語習得の過程には4段階があり、単語帳を用いた意図的学習と多読による偶発的学習が大切だと考えています。

  • 第1段階:「見たことがない」
  • 第2段階:「見たことはあるが、意味がわからない」
  • 第3段階:「見たことがあり、意味がわかる」
  • 第4段階:「見たことがあり、意味がわかり、使える」

第3段階目になれば、ある程度の英語は読めるようになるでしょう。しかし、自分の考えを発信するときには第4段階目の力が求められます。生徒たちには第4段階目の力を身につけ、将来、国内外を問わず国際的な舞台に立ち、活躍してほしいと考えています。そのために、文理の枠を越えて英語で学ぶプログラム(後述)も独自に創っています。

Q. 実際の使い方

ゼミの参加者が中学生の頃から「ビッグヒストリー」という考え方に触れる機会を作ってきました。本書は6章約100テーマで構成されており、1テーマは300~400字程度という長文です。中学生が読むには難易度が高いものです。ただ、教科の垣根を越えた知識を得て、統合していく学びの楽しさを体験してもらいたいという思いから、今回ご紹介している本とは別に、地球の歴史138億年を俯瞰できる図鑑を一緒に読んできました。図鑑には英語・日本語の両バージョンがあります。参照し合うことで知識を深めるだけではなく、英語に触れる機会にもなります。1単元がフルカラーの見開き2ページにまとまっていて、広く138億年を見渡すのに適切な教材でした。

▶Big History: The Greatest Events of All Time From the Big Bang to Binary Code(図鑑・英語バージョン)

▶ビッグヒストリー大図鑑:宇宙と人類 138億年の物語(図鑑・日本語バージョン)

高校生になった今は、今回ご紹介する洋書を読み切ることを目標にしています。事前に1テーマを読み、内容や気になったことをスライドにまとめ、発表することが理想です。しかし参加生徒のほとんどはさまざまな課外活動に取り組んでいるため、あまり負担をかけたくないと考えています。そこで、生徒の状況に合わせ、参加者全員が事前に読んで来ていれば内容について深める、事前に読めていない生徒がいれば、その場で一緒に読むなど柔軟性を持たせています。

本ゼミは、皆が知識を持ち寄り、交換し合い、学びを深めることを目的としています。教員である私もゼミ生の一員という位置づけで、英語の読解などは助けますが、内容については生徒たちに教えてもらうこともあります。

Q. 実施した結果

1冊の本を読み進めることで、大きな達成感を得ることができます。生徒からは、

  • 「毎回、新しいテーマで新しい発見があって楽しい」
  • 「どんどん読み終わったテーマが増えていくので、着実に進んでいる実感がある」
  • 「洋書を読むこと自体が英語の勉強になっていると感じる」
  • 「ひとつの時代を英語で読んだ、という自信になる」
  • 「英語が読めるって面白いんだなと感じる」

といった声が上がっています。

さらに、読み進める内に、理系・文系を問わずよく使われる用語は読めるようになります。結果として、大学入試の長文読解でいかなるトピックが出てきても対応できるようになります。

生徒の成長に触れるたび、英語を軸にした探究学習が実現していると感じます。

先日も感動したエピソードがありました。

“Humans Past and Present”の章を読んだとき、“Indonesia”と“China”という単語が出てきていたんです。「インドネシア」「中国」と理解するだけではなく、ある生徒が「あ、これってジャワ原人、北京原人のことだよね?」と言ったのです。これこそがこの本を読む意味だと実感しました。英語を読める・訳せることは読解の基本として大切ですが、積み重ねてきた他教科での知識を英語の読解と統合することで、本当の意味での「読める・わかる」になっていくことが実体験としてわかった瞬間でした。

余談ですが、先般、ネアンデルタール人のゲノム研究に貢献し、2022年ノーベル賞を受賞したスバンテ・ペーボ氏の講演会が東京大学の安田講堂でありました。ゼミの中で参加を呼びかけると、すぐにひとりの生徒が予約し、講演会に足を運んでいました。ゼミで得た知識をきっかけにネアンデルタール人への興味で行動を起こしたんです。この本を使ったゼミを通して、「文系だから理科はやらない」「理系だから歴史はやらない」ではなく、あちこちにアンテナを張り巡らし、学び続ける子どもたちに育っているなと実感します。

Q. 今後に向けて

本ゼミに参加している生徒は、知的好奇心が旺盛で行動力があります。この夏(2023年)に始まるDouble Helix: 市川 x 鷗友というプログラムにゼミ生の多くが参加します。ここには世界トップレベルの大学で学び、世界各地で教べんをとる教育学・医学・歴史学・統計学・生物学の専門家を英国とスペインから講師としてお迎えします。

本書を入口に、学ぶことにより前向きに、興味をもったテーマを深掘りすることで、より楽しんでほしいと考えています。英語の勉強にもなり、さまざまな分野を統合して考える学び方も身につく。そんな生徒の知的好奇心や力を増幅させる種が詰まった本です。

今後は書く力の育成にもさらに力を入れていきたいと考えています。例えば東京大学では1年生全員が履修する英語のライティングプログラムがあります。その高校生版を作り、大学のレベルにつながるようなものも高校で提供したいと考えています。

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山本 永年
市川学園 英語科・国際教育部長

プロフィール

【教育学修士・TESOL修士】 2017年:文部科学省認証英語教育推進リーダー 現在:市川中学校・高等学校(教諭/国際教育部長)/英語授業研究学会会員/語学教育研究所会員/環太平洋応用言語学会(PAAL)会員/小学校英語指導者+ (J-SHINE)/検定教科書…

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