必携 英単語 LEAP
最終更新日:2022年2月23日
- おすすめしたプロフェッショナル
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井林雅美 / 近畿大学附属広島高等学校 東広島校
必携 英単語 LEAP
数研出版
- おすすめのポイント
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Q.良かったところ
これまでは1冊の中ではっきりレベル分けができている単語帳があまり無かったので、本校のようにコースごとにレベルが異なる学校では教材を分けなければいけないことが多かった。そうすると複数のコースの授業を担当している教員側の負担がかなり大きくなる。しかし、本書はレベル別に分かれているため、どのコースでも共通して用いることができ、教員の負担が少なくて済む。幅広い層の生徒を対象に、同じ教材を使ってレベルを変えた問題を作れる。例えば、下位クラスでは、多義語の単語の第一語義のみを選択式で答える問題にしたり、上位クラスでは英作文を書かせたりするなど、難しくすることも、簡単にすることもできる。細かい使い分けができ、生徒のモチベーションを上げやすい。
Q.困ったところや改善してほしいところ
リピートを前提とした音声が付いていない。スピーディーに通しで読んでしまうので、生徒が自学するのには良いが、授業内で使うのには難しい。
Q.導入の経緯や、本教材採用の意図と狙い
本校は中高一貫校で、中学から進級してくる一貫生の方がどうしても授業の進度が速いため、高校から入学してくる生徒との学力レベルの幅がかなり広い。上級クラスには偏差値60を超える生徒もいれば、一般クラスでは偏差値40前後の生徒もいる。すべての生徒に合う単語帳を選ぶのが難しかった。
以前は「ターゲット」のシリーズを利用していたが、理由としては、単語帳がたくさんあって選びきれないので、ただメジャーなものを選んでいた。
本書は、2018年に発行されるタイミングで、出版社の営業の方に紹介された。著者の竹岡先生の教材は他にも見ていて良い教材だったので、興味を引かれた。ターゲットを含め、多くの単語帳は単語が機能別・種類別に分けられているのに対し、本書はパートごとにレベル別で分かれている。「ここまではWritingで必要だからスペルもしっかり書けるように、ここまでは読めて意味が分かるだけでいいよ」と指導がしやすい。本校のようにコースごとのレベルの上下差が大きい学校でも、単語帳1冊ですべてのコースをまかなえる。また、付属のワークがあり、実践演習が行える。
Q.実際の使い方
高校1年~3年まで、すべてのコースで使用しているが、高校1年生の初めから扱うには少し難しい。最初に「ターゲット1200」で中学までの基本の復習を行ってから、大体1年生の2学期頃から使い始める。
本書は4つのパートで構成され、パート1・2は、Writing・Speakingで使いこなせることを目指す「Active Vocabrary」、パート3・4は、Reading・Listeningで意味が分かるようにする「Passive Vocabrary」に分かれている。コースのレベルにより扱う範囲を調整して用いることができる。
本書付属のワークの2レッスン分(大体30語程度)を週ごとの単語の範囲としている。週3回の英語表現の時間に、毎回授業の最初の5分~10分程度を使って、その週の範囲の単語30個を通しで音読する。まず教員が読んだ後、生徒がリピートする。同じ30語を1週間くり返して練習し、各自自宅でも音読するよう指導する。その範囲に基づき、毎週1回小テスト(15問・例文の穴埋め形式)を行う。
ワークは宿題として提出させている。ちなみに、ワークの構成は、1レッスン見開き2ページで、約15個の新出単語が扱われている。左側に選択問題や例文の穴埋め問題、右側に新出単語を使った英作文問題が掲載されている。英作文は、語順や使用する単語の指定があるため、あまり回答がバラ付かない仕組みになっており、生徒自身でも採点がしやすい。
Q.使ってみた結果
付属のワークがあるので、単語帳だけで覚えるよりは、実践で使う練習ができる。
また、著者の竹岡先生が、細かい単語の使い分けの解説を書いてくれている。(例:DescribeとExplainの違いなど)説明が分かりやすいので、単純に丸暗記にならず、ちゃんと理解して覚えられる。また、例文も語の使い方によって2,3個掲載されているので、多義語を学べる。
共通テストの文量が増えたので、入試において単語力の重要度が増している。また、Writing活動が増えていく中で、どこまでの単語を書かせる必要があるのか見極めて指導するのが難しかったが、「このラインまでは書けると良い」というすみ分けがしやすくなった。
Q.利用が向いているクラスや生徒
共通テストに加え、2次試験で英作文を書く必要がある生徒たちには特にお勧め。必要な単語をすみ分けして勉強しやすい。
Q.あまり合わないと思うクラスや生徒
中学レベル(「ターゲット1200」レベル)の単語ができていない生徒には難しい。高校1年の初めからではなく、中3の復習を終えた2学期くらいから使うのが良いかも。
だからこそ、少しレベルを下げた「LEAP Basic」が昨年(2020年)に発行されたのかなと思う。本校では、今は「ターゲット1200」で復習してから「LEAP」を扱っているが、今後は「ターゲット1200」の代わりに「LEAP Basic」を使用しても良いかもしれない。
- 井林雅美
- 近畿大学附属広島高等学校 東広島校