【前編】生徒の学習モチベ爆上がり! 有名女子校を改革に導いた、個人面談での魔法の声かけ

最終更新日:2023年4月6日

 

今回のセミナーでは、個人面談で残り3分しかなくても、学習についての効果的な声かけができる方法をご紹介いたします。準備に使うのは試験の正答率のみ。このデータを先生と生徒が共有することで、頑張りを明確に褒めて苦手分野に具体的な対策を促すことができ、生徒のモチベーションも上がっていきます。ゲストに元・品川女子学院 教頭 石井豊彦先生をお迎えし、前後編にわたって詳しくお話を伺います。

もくじ

– 登壇者自己紹介

– 【第1部】品川女子学院の進学実績の変化

– 【第2部】変化の秘密は「4ゾーングラフ」

– 【第3部】面談ロールプレイング

– Q&A

 

登壇者自己紹介

(石井先生)よろしくお願いします。このような機会をいただきましたことを感謝申し上げます。私はこのようにいろんなところでいろんな経験をし、今年の3月に定年退職しました。振り返ると、特色的な面談の方法などを工夫し、こういった実践が皆さんのご参考になればと思います。ぜひいろいろなご意見も聞かせていただければと思っております。

私が、本日お話することをきっかけとしてもらったのは、ベネッセコーポレーションに同じく教員を辞めて来られた同僚からの次の言葉でした。

ただ頑張れと励まして、どう頑張ればいいのかを指示できないというのは指導とはいえない。そういえば、私は、面談で、「頑張れとか命がけでやれ言って励ますことはしていたけども具体的なこと指示しておらず、生徒にとって何の意味もない面談をしてきていたなあと反省しました。この体験をに、今日はお話をしたいと思います。

面談の工夫を実践した学校は、品川女子学院に17年、神戸山手女子中学・高校というところで2年間です。神戸山手中学・高校では副校長という立場で学校全体についての仕組みなども手掛けましたので、一緒にご紹介させていただきます。

 

第1部:品川女子学院の進学実績の変化

(石井先生)まず、品川女子学院に赴任して最も感銘を受けた取り組みとして、28プロジェクトがあります。28プロジェクトは「28歳のときに幸せな人生を送っている、そんな卒業生を作ろうではないか」という取り組みです。未来を幸せに生きる力をつけて、28歳のときに幸せに生きていくために、今自分たちがやっていることは本当に役立っているのか、もしかしたらもっとこういった活動をした方が将来のためにはいいのではないかと試行錯誤するのが、28プロジェクトでした。

中学、高校は次の進学先を保障していくのも大きな役目で、そこに力を入れていたことからの反省で、皆さんもご存知のように、2002年にゆとり教育が始まりました。カリキュラムに、総合的な学習の時間が導入され、そこでどんなことをやっていくのか、当時多くの学校が試行錯誤をしていたときに、品川女子学院は、2003年に28プロジェクトを立ち上げました。私はその翌年の2004年にこの学校に勤務を始め、そしてその翌年から中学1年生の担任になりまして、そこから高校3年生までの6年間、持ち上がりをすることができました。

当時は、どの学校も進学指導に力を入れていたところに、今でいう探究活動のようなことを加えました。28プロジェクトに力を入れることは、将来の進学先や進学実績に影響を与えないのかと、大変心配をされる方々も多かったです。

このグラフは品川女子学院の卒業生の何%の生徒が、MARCH以上のレベルの大学に進学できたかというのを年度別に表しています。私が担当した学年が卒業したのは平成22年です。この生徒たちは、中学1年から高校3年まで、6年間通して28プロジェクトを実施した最初の学年です。それまでは、30%ぐらいの卒業生がMARCHレベル以上の学校に進学していたのですが、それが一気に45%まで伸び、突出した成果を出すことができました。

これは、いい大学に入りたいというよりも、自分が28歳のときに、どんな場所でどんな人と一緒に、そしてどんな人たちの役に立つ生き方をしていきたいかを考えた上で、どんな大学に進学したいかを考えさせたために、学習意欲やモチベーションが上がって、大学入試勉強も頑張ってくれたのかなと思っております。

ある学年だけ特別きっちり指導ができて、突出して良い成績を収めるということはあっても、他の学年になると元の状態に戻ってしまうことはよくあります。しかし、品川女子学院では、先輩の背中を後輩が見て、例えば、あの先輩が早稲田大学に入れたのなら私にも可能性があると考えあの先輩のように、部活動や他の活動も一生懸命頑張っても早稲田大学に合格できるんだと考える伝統が創造され、その後も順調に成果を上げ、今では入学した生徒の半分、またはそれ以上の生徒がMARCHレベル以上の大学に進学できる状況になって落ち着いています。

この資料は、品川女子学院の27年度の卒業生で、現役で大学に進学した子がどの学部学科に入学したか示した円グラフになります。聞くところによると、以前の品川女子学院は他の女子高と同じで多くの生徒が英文や仏文科といった文学系統の学科に多く進学していましたが、28プロジェクトの導入によって、このようなたくさんの学部学科に進学する学校になりました。一番進学しているのが、経済、経営、商学系で、特徴的だと思います。このように、いろいろな学部学科に進学するということは、多様な興味関心を持つ生徒が一生懸命自分の未来を考えて、多様な進学先を選んでいるということです。未来を考え、そこから逆算し、現在の自分が何をすべきか考えるようになりました。これは、28プロジェクトの成果だと私は思っております。

私が非常に感銘を受けた言葉をご紹介させていただきます。現在の品川女子学院の理事長の漆紫穂子先生は当時校長先生でしたが、彼女が入試説明会で、来年品川女子学院を受験したい保護者に言った言葉です。
「本校では、もめごとと失敗を多く経験してもらいます」とおっしゃったんです。当時、私立の6年制の学校に進学させるということは、トラブルなく無事に6年間を過ごして、希望する進路につかせたいという保護者が多い中で、もめごとと失敗を多く経験させると言ってしまうのは私もびっくりしましたが、その後の説明を聞いて腑に落ちました。もめごとは、価値観の違う人同士が一緒に何かを始めたときに初めて起こるのです。また失敗はチャレンジをした結果発生する経験です。だから価値観の違う人との交流をせず、何もチャレンジをしない人はもめごとも、失敗も経験しないということです。でも、もめごとや失敗というものは、社会人になったらいろんなところで経験するわけですから在学中の6年間でたくさんのもめごとや失敗を、自分1人で解決するのではなくて、その生徒の周りの大人や仲間がサポートしてあげる環境で体験させてあげたい、これが本校の教育方針です」と説明されました。
私は非常に感銘を受けまして、こういう学校でぜひしっかりと働きたいと思ったことを覚えております。

私のそれまでの面談は、点数が取れなかった、こんな悩みがあると聞くと、そうだねあまり気にするな次は頑張ろう運が悪かったねというような声かけが多かったと思います。でも、乗り換えるときっと成長できるという、コミュニケーションが大事と思い始めました。こうすればこの失敗は二度としないはずだ、この経験はきっとあなたを成長させるはずだ、その為にはどうすればいいか、考えてみよう。そんな面談を心がけるようになりました。

生徒は、例えば得点が50点だったら60点にあげことを課題だと考えがちですが、本当の課題はそうではないです。60点を取ることが目的ではなくて、60点を取るためには自分がどういうことを変えなければいけないか、というものが本質的な課題です。例えば、授業態度をもっと良くしなければいけないとか、ノートをしっかり取らなければいけないとか、そういったものです。この行動に基づくような課題を私はインサイトと言っています。このインサイトを設定する機会が面談ということになります。

問題解決というものは、こうなりたいという目標と現在の状況のギャップを埋める行為です。目標を理解しそれに達するためにどう行動するかを考えることが大切なんです。目標と現状を理解すると、生徒たちは自主的に行動するようになります。では、具体的にどんな話をしたかをご紹介します。

まず得点というものは本質的にどういうものなのか。私は理科の教員です。理科は例え話が多いのですが、大脳の中にいろいろな知識や情報が貯まっていて、たくさん知識や情報が貯まっている人は学力があるしましょう。大脳の中には、図のような容器があって、授業を受けたあとは知識や情報が流れ込み、貯まっていきます。たくさんの知識や情報が貯まっている人にはいい得点が、あまり貯まっていない人には悪い得点が出ます。これがテストの得点です。また、大事なことは、私達はいろいろなことを学んだあと、物事を忘れていってしまうということです。大脳の容器の底には穴があり、そこからせっかく覚えたものどんどん漏れていってしまいます。これが、忘れてしまうということです。

得点をあげるために、忘れた分以上のたくさんの知識を容器に入れるという考え方もありますし、容器の底の穴を塞いでいくというのも一つの考え方です。効率的な課題解決方法として、毎日の学習量も大切ですが、理解不足の穴がどこに開いていることを認識し、それを塞いでいくということが大切だと生徒理解させるように話しました。どこに穴が開いているのか、それは、不正解した問題がここに穴が開いているよと教えてくれています。模擬試験などのテストが返ってきたときに、何点だった、良かった、悪かったで終わりになっている子がいかに多いかというのは先生方もご存知だと思います。大切なことは、どこを間違えていたかから、大脳の容器の底のどこに穴が開いているかを認識して、その穴をふさぐための行動ができるかどうかだということを、しっかり話し込んでいきました。

本質的な課題を設定することが面談の目的で、失敗を経験にするということが大切だということになります。

 

(松山)先生ありがとうございます。一点ですね、視聴者さんの方から質問が出ておりまして、お答えいただきたいのですが、先生が担当した学年とは何を意味しますか。1年生から3年生まで授業を持ち上がる、つまり高1の教科担任をすると2、3年生でも自動的に担当するというのが普通なのでしょうか、それとも学年主任や担任などの役割があるのでしょうか。こちら学校のシステムが分からないというご質問です。

(石井先生)私は、教員に戻りたくて品川女子に移り、着任した年は学年付きということで俗に言う副担任というのをし、中1、中2、中3と担任をして持ち上がりました。高校1年生では教務部長として化学の授業を担当しました。高2、高3では教務部長+担任、指導は化学で高3まで持ち上がりました。その後、副教頭を経て教頭になったということです。ですから高1のときを除いて、面談もや大学受験の指導も全て行いました。そのときにどう課題を解決していったか、今からお話しするようなことが経験できました。

 

第2部:変化の秘密は「4ゾーングラフ」

(石井先生)中学校や高校の定期テストの校内平均点は大体60点です。60点ぐらいの生徒がいたら、どういう声かけをしたらいいと思いますか。

ここで大切なことがあります。それは、60点現在の得であって、もしその子が前回は80点取っていたのならその子の成績は下がっています。前回60点だったとしたら前回と同じで、もし40点だった子が60点だったのであれば上がっているので褒めてあげないといけないですよね。つまり、結果というのは点ではなく線で理解したら、同じ60点を取っていても違う指導が必要になることが理解できると思います。

のテストでもっと成績を上げようという相談を行うために、過去をしっかり理解する、つまりポートフォリオと呼ばれるようなことも考えると、いろいろなケースに沿った指導ができ、対応する仕組みを作っていけばいいんだと考えました。

そして、4ゾーングラフという考え方に最終的に行き着きました。まず定期試験の難易度別に配点を決めることを行いました。品川女子学院では教科ごとで難易別の比率が違っていましたが、神戸山手の女子中高校では50点、30点、20点で統一して設定しました。授業している先生が生徒を観察して、その生徒たちが8割は取ることができるような問題をA問題、B問題として大体半分の生徒が解ける標準的な問題として30点、C問題は骨のある問題です。全体の20%が解けるような問題を20点で、合わせて100点という形で出題するようにしました。

どの学校でも、定期テストを返却する時間に、模範解答のプリントを配布して、この問題は正解は〇〇配点はいくらと伝えていると思いますが、品川女子ではそこに、この問題は配点は3点でAの問題です、この問題は配点は5点でCの問題ですと難易度も併せて記載しています。生徒たちは返却された答案の点数を確認した後、Aの問題で何点か、Bの問題で何点か、Cの問題で何点かを再集計して、記録表に書いて渡します。

例えば、同じ60点を取った子でも、Aの基礎力の問題を全部解いて残り10点をなんとか稼いだ60点と、Aの問題でポロポロミスをしてBとCの問題を何とか正解して60点にこぎつけた子では同じ60点成績ですけど、同じ声かけではなくなってくるってことは理解できると思います。

こういったことがこのシステムでは目に見えて分かるように、フォーゾーングラフを考案しました。

縦軸はBとCの合計点で50点です。Bは30満点で50%取ることができますから平均は15点、Cは20点で20%ですから平均4点ですので、合わせて19点。これが学年の平均になります。横軸は基礎力Aの問題50点です。問題は80%取ることができますので平均は40点になります。このBとC問題の平均点19点とA問題の平均点40点を黄色の点示したこのグラフは、4つのゾーンができ、これをフォーゾーングラフと命名いたしました。このグラフに自分の得点のAの得点とB、Cの合計点をプロットさせました。

例えばグラフの理科と数学は同じ60点なんですけど、明らかにこの子に対する声かけは、数学と理科で同じではいけないということがわかると思います。

また、この難易基準で出題をすれば、応用力が19点、基礎力が40点で合わせて全体平均点が59点になりますので、この学校の全部の定期テストの平均点が60点前後で揃うことになって、先生によってすごく難しい出題される人とそうでない人がいるというような問題があった場合でも、平均点は学校として揃えることができたと思います。

グラフにプロットすることによって、自分の強み弱みをわかりやすく図示し、理解して次に何をすべきかを考えさせ、面談時間が残り3分だったとしても、ここがあなたの課題ではないですかという問いかけが簡単にできました。保護者の方にもこのグラフでお伝えしますと、すごくわかりやすいということでした。

グラフには、平均点で区切られた4つのゾーンができ、それぞれ意味を持ちます。私は、これを4ゾーンと名付けて生徒に説明をしていきました。①番のゾーンは、基礎力も応用力も平均点よりも少ない、つまりこれから基礎問題ができるようにまずは授業を大切にしていこうというような声かけをしないといけません。②番は、基礎力は平均以上だけど応用力は平均にいっていないということです。真面目に授業を受けてここまで来ているわけですから、これから応用的な問題にも歯が立つように工夫をしていくことを働きかける必要がありそうです。③番のゾーンは基礎力も応用力も平均以上取っているということで高い学力をキープしています。よって、ここを維持できるように声かけをする必要があります。Zゾーンは、ここに位置するのは不自然と考えるべきです。基礎力平均点がないのに、応用力は平均点以上の得点を取っていますから、このゾーンにいるのは何かしらの理由があるはずです。もしここにプロットする科目があったときはしっかりと生徒と話をする必要があります。このようなことが一目でわかるのが4ゾーンの意味になります。

従って、Zは通らないので、生徒の得点は、左のグラフのように①から②、③に上がっていく移動をします。また、ご担当のクラス全員の生徒のそれぞれの得点をプロットするとですね、右図のような形のプロットになるということをご理解いただけたらと思います。

それは確かに良いことだけど学校としてやるのは大変、私はいいと思うけどこんなことは学校としてできないですという話が当然出ると思います。私もここまで来るのにずいぶん苦労した部分もありますが、個人的に応用する方法としてはどんなことがあるか考えました。私は、A、B、Cと、問題にそれぞれメッセージを乗せるということはすごくいいことだと思っています。出題した100点満点の問題のうち、この問題にはAという意味があります。授業をちゃんとノートを取って聞いていれば解ける問題です。Bは二つ以上の要素を組み合わせないと解けない問題です。Cは将来入学試験で問われるような問題です。などのメッセージを乗せて出題されるのはどうでしょうか。そして総得点を模範解答と一緒に確認させたときに、それぞれの問題にはこういう意味があるんだよ、A問題で何点取れたか、B問題で何点取れたか、C問題は何点取れたかを振り返りシートに書かせて、課題に感じたところなども記述させた上でシートを回収して、その先生だけの分析をすることが可能だと思います。またそうすることで、自分がこれはきっとできるはずだと思って出題したものが意外にできていないといった発見もできて、自分は教えたつもりだったけど理解されてなかったという反省にも使えるのではないかと思います。

このABC分類と4ゾーングラフの分析はデータ重視の分析と思われそうですけれども、私が目指しのは、このデータを踏まえながらいろいろな話を生徒としたいということです。一番大切なことは、「先生は私のことを理解しようとしてくれている」「先生は私のことよく見てくれている」「自分でも気付かなかった問題点を先生から指摘してもらってよかった」と言われるような面談が実現できることだと思います。

そのために私は生徒のエクボ探しというのをしてその生徒が持っている良いところをきちんと伝えようとしました。具体的には、面談の記録ノートを作って、生徒ごとのページを作り、前回の面談ではどんなことを言って、自己評価としてこういうようなことを次にやると約束をしてくれたというのを全部書いておりました。また教室や廊下で見かけたほんのちょっとした些細な良いことも全部メモしていました。例えば掃除で、クラスのゴミ箱をゴミ捨て場に持っていくことはなかなかみんなやらないことで、最後にじゃんけんで決めていたようなこともあるのですが、そういうときに、「今日はわたしが持って行ってあげる」と言ってゴミ箱を持って行く姿を目撃したら、早速そのことをメモしておいて、面談のときに話すと、先生はこんなことも見てくれていたんだと思ってもらえます。また保護者面談でも、そのようなことを保護者にお伝えして、会話をすることによって、評価として「この先生は本当に娘のことをよく理解しようとしてくれている」と思ってもらえて、お互いに認めてもらうことができます。生徒は背中を押してもらったと行動するようにもなります。

これは進研模試の分析方法で、品川女子でやっていたものです。この分析方法は定期テストのABC分類のヒントにもなりました。今、進研模試はデジタル採点になっていて、記述型模試でも全ての問題が、全国で何%の生徒が正解したというデータが出ます。例えばこのグラフは英語の一番正答率が高かった問題から一番正答率が悪かった問題を、正答率の良い順にずらっと並べたものです。それぞれの配点を足していくと赤色の折れ線グラフになり、最後は100点になるようになっています。答案用紙が帰ってきた日にこのデータを印刷して生徒に渡していました。これを通常「品女シート」って言っています。生徒は持って帰った答案の丸がついた問題をラインマーカーで色を塗って、次の面談するときに出します。

そうすると、そのグラフから、基礎のところで正解できなかった問題とか、また応用問題で正解できたところなど、いろんなことが分かって、ケアレスミスがあったことも確認できます。ケアレスミスがあったら、私は埋蔵点という言葉を使って、本来あなたの得点にプラスされていたはずだから、本当のあなたの点数はこれだから、判定はもう1つ上がるから頑張ろうと、プラスの評価をすることもできました。また、偏差値60を取るためにはこんな問題が解けるようになればいいと、具体的な問題を生徒に示すことができこれが解けるようになるためにはどうしたらいいかという面談もできました。

偏差値60というとMARCHが見えてくる偏差値、70は早慶上智が見えてくる偏差値です。早慶上智を目指しているなら、この問題が解けるようにならなければならない、その為にあなたがどういう行動をしないといけないかという具体的な問題を提示しながら、生徒と面談ができます。これがエビデンスに基づいた面談方法だと思います。

学校の先生は、大学入試問題から、大学に合格するためにはこのぐらいのレベルの問題を解かないといけないということは知っているんです。けれども、例えば、高校2年生の11月の段階で偏差値70を取るにはこのぐらいの問題が解ければいいという、具体的な問題については案外知らないです。このシートを作って、それぞれのご担当の教科で、それぞれの学年のときの偏差値60や70を取るための問題を見ることは指導に役に立つと思います。ちなみにこのシートは、ベネッセが模試を使っている学校に入れている、FINEというシステムで作ることができるはずです。

(松山)ありがとうございました。まとめとしては、4ゾーングラフとABC分類で、課題のありか、点数の内訳を明確にしていくこと、面談においては、褒めるところを日頃から探して伝えることで、先生は私のことを見てくれていると生徒に思ってもらえるようにするということがエッセンスと思いましたがいかがでしょうか。

(石井先生)まさしく、「最近どう?」というような会話で始まり、日常会話で終わる面談は全然駄目で、今あなたはどうあるべきで、現状とどれだけのギャップがあるのかということを、実際にグラフやデータを見ながら話をすることで、お互い納得できます。これを繰り返すことでPDCAサイクルを中間期末テストの度にまわし、高校3年生まで6年間これをずっとやっていけば、多様性に富んだ未来社会を、自分の足で歩んで行くことのできる学力を身につけることができるのかなと思っております。

チャットで、私が教務部長しながら担任をしたということに驚いたというメッセージがありましたが、これは例外的な配慮で、私がとにかく担任をさせてくれと頼んだからです。担任を持たなかった1年間が耐えられないぐらい寂しかったからです。お願いをしてやったことなので、非常に例外的なことです。

 

前編はここまで。後編では、実際の面談を想定した状況別の声かけロールプレイングと、参加者のみなさまから寄せられた質問に対して石井先生にお答えいただきます。後編もぜひご覧ください。

> 【後編】生徒の学習モチベ爆上がり! 有名女子校を改革に導いた、個人面談での魔法の声かけ

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