身近な素材から思考力を深めて国際交流の力も養える!4技能5領域の言語活動に無理なく取り組める高校生の英語の授業におすすめの教科書
最終更新日:2022年10月24日
- おすすめしたプロフェッショナル
-
九州の私立中高一貫校 英語教員T先生 / 九州の私立中高一貫校
Grove English CommunicationⅡ
文英堂
- おすすめのポイント
-
Q. 良かったところ
自分たちに身近な題材からスタートしているので、生徒が英語を読む苦手意識を持たなかったところが良いと思う。
共通テストで扱っている題材も身近なものなので、最終的にそこにつながるのではないだろうか。
レッスンが進むにつれて、社会的な問題を扱うなど徐々に難易度のレベルが上がっていくというテキストの構成も良いと思う。
Q. 困ったところや改善してほしいところ
準拠しているワークの文法問題が若干簡単なので、もう少し難易度を上げても良いと思う。
Q. 導入の経緯や、本教材採用の意図と狙い
問題/課題:
以前使用してきた教科書は使われている語彙(ごい)の難易度が高く、題材も社会的な問題を扱っていて生徒にとって読みにくさがあった。
そのため、もう少し難易度が低くどのクラスでも使えるものを、という理由で2年前から『Grove English Communication』を導入している。
状況(クラスの人数やレベル):
国公立・難関私立への現役合格を目指す難関大学進学コースと、進学・就職を含め自分の適正に合った進路に必要な知識を取得する一般進学コースの、高1と高2全クラスのコミュニケーション英語の授業で使用している。
各学年ともに5クラスあり、生徒数は平均30名。
他の類似教材ではなくなぜこれか:
『Grove』は、話題になった映画のように自分たちに身近な題材から、徐々に環境問題のような社会的なテーマへと進んでいくので、英語が苦手な生徒にとっても苦手意識を持ちにくい。
使われている語彙や文法も、高1・高2それぞれの学年の標準的なレベルに沿っており、掲載されているパラグラフの長さや分量もちょうどよい。
Q. 教材の構成(全体構成、単元ごとページ構成)
レッスン1~10で構成されている。
各レッスン内の構成
【導入部】
本文を読解するポイントとなる単語やテーマと関連する事柄について簡単な問題などのリスニングをする。
・「Keywords」:各レッスンのタイトルにちなんだ写真と、関連する単語をピックアップ。音声を聞いて本文のキーワードを予習する。
・「Warm-up」:本文のテーマに関連する簡単なリスニングテスト(3~4問)。写真や図を見ながら音声を聞いて問題に答える。
【本文】
各レッスンに、レッスンのテーマに関連する長文問題(3~4パラグラフ程度)が3~4パートに分かれて掲載されている。各パート見開き1ページ分を使い、概要を問う問題・リスニングT/F問題・ペアワークなどで構成されている。
【課末(まとめと文法確認)】
各レッスンの最後にまとめと文法問題が掲載されている。
視点を変えた本文内容の振り返り活動、内容理解を進め、リテリングや要約などへと展開させる。レッスンで学んだ文法事項を確認し、より実用的な表現につなげる。
・「Review and Summarize」:テーマに関連する写真や図とキーフレーズを参考にして、リテリングでパートの内容を復習する。空所補充問題で全体のサマリーを確認する。
・「Your Turn!」:本文の内容を対話形式や発表形式などさまざまな形で発信する。
・「Grammar for Communication」:各パートのレッスンで学習した表現や文法を使える場面を意識して、会話やペアワークを行いながら理解を深める。
・「One Step Further」:レッスンのテーマの内容について、より実用的な場面や状況を想定し、リスニングや英文作成、ペアワークなどを行う。
Q. 実際の使い方 (どこを、どの程度のペースで等)
進め方(年/学期単位、授業単位):
コミュニケーション英語の授業は、高2で週に4時間、高1で週に3時間ある。
2時間の授業でレッスン内の1つのパートを終わらせるようなペースで進めている。進み方が速いクラスでは、約2週間で1レッスンを終わらせている。
授業では、本テキストと一緒に難関大学進学コース・一般進学コースそれぞれに指定した速読ドリルや単語帳などの副教材を使い、テキストの内容だけでは足りない部分を補っている。
指導する上での工夫:
大まかな内容を自分でつかめるようになることが重要なので、長文をきちんと日本語に訳させてはいない。授業の最初の10~15分を使って本文を読ませ、全体の内容を把握させている。
内容の把握ができたら、重要事項などを細かく説明し、残りの時間を使って付属のワークブックで問題演習を行うという流れで授業を進めている。
クラスによって英語の習熟度が違うため、習熟度に合わせて授業の進め方も変えている。英語ができるクラスでは多くの分量をこなすことを重視し、簡単なワークブックの演習などは行わず、テキストのレッスンをどんどん先へと進めている。
英語が苦手なクラスでは、ワークブックの演習なども丁寧に教える必要があるので、時間をかけて指導している。英語が苦手な生徒には、生活に浸透している言葉などをピックアップしながら教えたり、アプリを使ってクイズ形式で単語を覚えさせたりすることもある。
国際交流の上達を目指し、テキストで扱っている題材を話題作りの材料として使うこともある。
また、学期の最初に、それまで学習した教科書の範囲内に出てきた単語のテストを100問作成してやらせている。
Q. 使ってみた結果
生徒からはとくに難しい、使いにくいという声はなかった。テーマによって、生徒の関心の高さや反応はさまざまだったが、興味を示したり身近に感じたりするテーマについては、関連動画などを見せると話題が盛り上がることもあった。
学年全クラスで同じ教材を使ったことによって、生徒の反応からクラスのレベルを見分けられるため、クラス別の英語習熟度に合わせて指導方法を工夫できた。テキストの内容も、教え方に幅を持たせられるような設計になっていると思う。
Q. 利用が向いていると思われる学校・クラス・生徒
英語が苦手な生徒や大学進学を目指す生徒どちらにも合っているだろう。
Q. 個人的にあまり合わないと思う学校・クラス・生徒
国公立を狙っているトップクラスの進学校には物足りないかもしれない。
- 九州の私立中高一貫校 英語教員T先生
- 九州の私立中高一貫校