英語を通して世の中を知る!高1でも取り組みやすく編集された、映像付きの世界のニュース教材
最終更新日:2023年2月10日
- おすすめしたプロフェッショナル
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松木龍太 / 大阪学院大学高等学校
CNN Workbook Extended Course
朝日出版社
- おすすめのポイント
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Q. 良かったところ
とても使い勝手が良い。リスニング教材だが、ライティングやスピーキング、単語の勉強と、いろいろな形で活用できる。1冊でいろいろな活動がいろいろな形で出来ることが、とても面白いと思う。
Q. 困ったところや改善してほしいところ
まだ本教材を知り尽くしていないため、まずは自分自身がもっと教材研究をしていきたい。
CNNなのでどうしても世界のニュースが中心になってくるのだろうが、日本のことも少し盛り込まれていると面白い。その国の事情を知らないと、リスニングだけでの理解が難しい場合もある。生徒たちの日常生活のなかで発生した背景知識のある日本のニュースなら、英語理解以前のハードルが低く取り組みやすいので、あると嬉しい。
Q. 導入の経緯や、本教材採用の意図と狙い
問題/課題:
今年度の4月から、高1の国際コースと特進コースに導入。
英語の授業で社会情勢をもっと知ってほしいという想いがあった。本教材は題材がニュースなので、現代社会で実際に起こっている問題が掲載されている。それを聞いたり見たりすることで、生徒たちに親近感を持ってほしい。この世の中で起こっていることに対して知識欲を高めていってほしい。英語を通して世の中を知る、という目指す観点が合致していたので、まず興味を持った。中身を見たところ、スクリプトがとても短いので、高1でも取り組みやすい。長いと、おそらく高1ではつらく感じると思う。聞いてみても、英語は早いが高1でもついてこれそうだと思い選んだ。元々はとても長いであろうニュース音声を、おそらく一部切り取っていると思う。高校生がやりやすいように上手く編集されている。
状況(クラスの人数やレベル):
本教材を利用している国際コースと特進コースは、どちらも1クラス約30名。レベルもほぼ同じくらい。担当している国際コースだと、実際どれほどの級をもっているかは不確定だが、推測では英検3級レベルくらいの生徒が多い。入学時に準2級や準1級を取得済の生徒も数名はいる。
他の類似教材ではなくなぜこれか:
同じCNN Workbookでも3種類あるが、導入としてはこれが一番扱いやすいと思った。他のものはスクリプトが長くて高1に取り組ませるには難しく、教員も扱いにくく感じた。
本教材は映像がついていることが、選んだ理由として一番大きい。動画が使いやすく、面白い。当然音声も付いている。生徒もQRコードで動画が見れ、音声も聞ける。教員がそれらを送ることもできる。動画があると、生徒が興味を持ちやすいメリットもあるが、一番は授業の中で扱いやすい(詳細は「進め方」で後述)。
Q. 教材の構成(全体構成、単元ごとページ構成)
20本のニュースを収録。ニュースの書き起こし以外に、ニュース内容に関するfact-finding questionが3題、ニュース内容に関して自分の意見を書くessay questionが1題掲載されています。
探究型論文作成ガイド(SDGs対応)、学習者の自己評価用Reflection Sheet付き。
付属品(音声データ、別冊「解答・解説」、充実の指導用データ、動画含むダウンロードコンテンツ)- 配達ロボットの需要が中国で急増中!
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Q. 実際の使い方 (どこを、どの程度のペースで等)
進め方(年/学期単位、授業単位):
本教材は「論理表現」の授業で使用しており、授業は週1回、連続した2コマ(1コマは50分)。1つのニュースを1.5コマで終えるくらいのペースで進めている。
進め方の詳細は、授業法紹介の記事『TEFLの手法を活用して論理表現で伝える「教材を通して世の中に自分の興味関心を開いていける!」』を参照
指導する上での工夫:
アメリカで学んだ外国語教授法「TEFL(Teaching English as a Foreign Language)」を授業に取り入れている。4技能それぞれについて様々ある手法のなかの、リスニングについての手法を本教材の授業で実践している。聞くことに対してアレルギーを持っている生徒が、見てもどうせ分からない、早過ぎて理解できない、と諦めてしまう事態を避けたい。完ぺきに理解できなくても頭の中で考えることはできるから、そこからまずやってみようということを、「Silent Movie」や「Dictogloss」という手法を使うことで実現したい。
新しい手法を実験的に取り入れて、より良い授業法も探っている。先日試したのは、インフォメーションギャップを使ったリスニング活動。2つの動画(具体的にはニュースの4と7)を一度に使い、音声なし動画視聴は全員で2つ分の動画について取り組む。音声付き動画を視聴する際、生徒をAとBの2つのグループに分けて、Aはニュースの4を聞き、Bはニュースの7を聞く。AはBが、BはAが聞いている間は廊下に出て、相手グループの音声は聞かない。その後お互いに、相手グループに自分が聞いたニュースの内容を伝える。
生徒たちにはまだ難しかったようで、聞いてることは分かるが伝え方が分からないと言う声もあった。こうしたチャレンジレベルの手法を導入するには、生徒たちがこの活動を自分ごととして捉えて前向きについてきてくれることが必要だろう。
Q. 使ってみた結果
生徒は難しいとよく言っており、実際難しいだろうと思う。けれども短いスクリプトなので、ある程度言っていることが分かる部分もある様子。分かる部分があると、生徒たちも自信がついてきて、励みになるようだ。モチベーションが上がってきたと言う生徒もいるし、生徒たちを見ていてもそう感じる。
まだ使い始めたばかりで、教員側で使い方を工夫する改善の余地はあるが、使いこなせるようになったらとても面白い教材だと思う。評価に取り入れることはまだ考えていないが、リスニングテストは今後する予定。
Q. 利用が向いていると思われる学校・クラス・生徒
高校生以上。偏差値帯がそれほど高くなくても使えて汎用性が高い。留学などで海外に行きたい、行く予定がある生徒にも、現地での生活に役立つだろうから良いと思う。
Q. 個人的にあまり合わないと思う学校・クラス・生徒
中学生には難し過ぎる。
- 松木龍太
- 大阪学院大学高等学校
プロフィール
大阪学院大学高等学校の英語科主任。高校3年生をメインに、主に国際コースの全学年を担当。2016~2017年の1年間、サバティカルタイムを取得しアメリカのサンディエゴで外国語教授法「TEFL(Teaching English as a Foreign Langu…