【第2弾】添削の手間が激減?! 〜生徒の自己学習力を育むライティング指導実践ワークショップ〜

最終更新日:2021年11月19日

※このイベントは2021年10月に開催されたものです。

 

【第2部】理論編「新英作文指導法“SSCC(同時自己添削英作文)”というコロンブスの卵」


●SSCCをつくった背景は?

 

(越智)第2部では理論編「SSCCというコロンブスの卵」と題して、今井先生が開発された新しい指導法についてお伝えしたいと思います。このSSCCを作った背景を、教えていただいてもいいですか。

 

(今井先生)僕は北海道の三つの公立高校で、英語が苦手な高校生からある程度できる進学校の高校生まで28年間教えた後、札幌地区の立命館慶祥中学校・高等学校という私学に移りました。

3年間そこで過ごした後、京都の立命館高校に異動して7年間指導したのですが、当時の生徒たちが非常に熱心で、英作文力・ライティング力を高めたいと思っているものの、実際には簡単に高められないという問題に直面していました。当時僕のコースは2クラスあって、約60名の生徒たちが東大・京大・阪大・神戸大、あるいは医学部に行きたい、と。そうすると作文が必ずあるので、ライティング力を高めたいと言うのです。「この子たちのライティング力を高めるためにはどうしたら良いだろう」ということで、生徒たちと一緒に、泥沼の中で試行錯誤を始めました。

僕がたくさん添削してしまったら、僕の寝る時間が足りなくなります。実際に働きすぎて倒れたことが2回あるので、無理をすると英語教員の健康を損なうということはよく分かっています。教員のある程度の一斉指導の中で、生徒のライティング力が伸びる手法がないものかということで考えたのが、SSCCです。

(越智)先生が考えたのではなく、生徒たちと一緒に作られたというところがすごく素敵だなと思ってお話を伺いました。

 

(越智)続いて、SSCCを先生はどう活用されているのか、実際その効果はどれほどのものなのかという点を伺いたいと思います。今井先生、よろしくお願いします。

 

●「ACCURACY」と「FLUENCY」

 

(今井先生)実は、ライティングとスピーキングの指導には、「ACCURACY」と「FLUENCY」の2点が大事です。つまり、「正確性」と「流暢さ」です。実は、今までのライティング指導の中で、この二つを意識して指導した例はあまり多くありません。

今日ご参加されている先生方は、非常に熱心な方が多いと思いますので、既にこれを意識して指導している先生もいらっしゃるかと思いますが、全体を見ると非常に少ない。この正確性と流暢さを意識すると、格段に指導がしやすくなったことから編み出したのが、SSCCです。正確性、つまり「ACCURACY」を高めるにはどうしたらいいか。

 

 

(今井先生)ターザンEnglishという英語があります。「You, スーザン」「Me, ターザン」のように、単語だけでコミュニケーションするものです。終始それだけで通じるなら良いのですが、それだけでは通じないですよね。英語の語順、単語の語順というものを意識して発信しなければ相手にわかってもらえない、つまり「ACCURACY」が大事である。ではどうしたらいいかというと、「SIMULTANEOUS SELF-CHECK COMPOSITION」、同時自己添削英作文です。

クラス全員、それぞれが自分で考えた英文をノートに書きます。その間に、僕は黒板ないしホワイトボードに正解の英文を書く。生徒は自分の英文が書き終わりましたら顔を上げて、赤ペンを使って自分で添削をするのです。

一生懸命頑張って考えた生徒からは、僕の書いた模範英文と自分の書いた英文が違う場合、どうしても質問が出ます。生徒は手を挙げて、「僕はこう書きましたが先生どうですか」「私はこう書いたんですけど、これどうですか」と質問をします。

約40名いる教室の中で、1人が質問するとだいたい同じようなミスをしている子が2〜3人、多いときは4〜5人います。1人の質問に対して、僕は〇・△・✕という答えを出します。それは模範英文と違う表現だけれども〇です、通じますよ。あるいは、なんとかネイティブにはわかってもらえるけれども△、ちょっと使い方が不自然ですよ、というシグナル。✕の場合、その言い方はなぜ駄目かというとこうだからです、と説明をします。

そういうふうに説明すると、生徒はものすごく一生懸命聞きます。文法の授業で文法の話だけすると、運動部の生徒を中心に寝ます。

(越智)(笑)。

(今井先生)自分で考えて書いているので、自分で添削しながらなぜそれが駄目なのか、ものすごく集中して聞くのです。英文は一行空けて書くようにして、空いたところに赤ペンで「なるほど」と思ったことをどんどん書いていきます。これを約20分ぐらい、一文一文やっていって、出来上がった文をみんなで音読し、内在化して発信できるところまで持っていくというのが、このSSCCです。

 

 

(今井先生)これがなぜ良いのかというと、自分で添削するから気づきが深まるというのが一番です。自分で書いた英文を自分で添削しますから。冒頭でもお話ししましたが、生徒というのは一人一人違うので、ミスするポイントもみんな違います。

三単現のSばかり間違っている生徒は、自分で何回も三単現のSを直します。あるいは、時制が間違っている生徒は、何回も自分で時制を直してきます。要するに、自分の中から発せられた自分のミスを自分で添削するので、自分で直せるようになっていく。これが最大の良いところですね。

授業中に生徒の脳内活動が活発になるということです。僕はこれを「アクティブラーニング」と呼んでいます。グループワークでたくさん喋り合うのがアクティブラーニングではなく、生徒の脳内活動が活発になっていることがアクティブラーニングなのです。ですから、教室がシーンとしていても、それぞれの生徒の頭の中が活発に動いていれば、それがアクティブラーニングということになります。

そうなってくると、生徒は自分で考えて動き出します。生徒の英文にミスがなくなるわけです。つまり、「ACCURACY」が良くなってくると、同じミスをしなくなってきます。

 

 

(越智)確かに。

(今井先生)僕はこれを1年間通してやるのですが、3ヶ月単位で生徒は大きく変わっていきます。週に1回やっていると、「正しい英文が書ける自分」を発見する生徒が増加します。3ヶ月前、英文が書けなかった自分が、もう書けるようになっている。そういう生徒がどんどん増えてくるのです。

高校1・2年生の間は、各レッスンが終わった後に。3年生になりますと、週に1回必ずSSCCをやるようにしています。そうすると、何より「ACCURACY」が高まります。

(越智)正確性が高まる、ということですね。

 

連鎖意見英作文「COC」

 

(今井先生)「ACCURACY」は高まった。では「FLUENCY」、流暢さはどうするかということで研究開発したのが「COC」です。例えば、海外から英語でメールが来たので英文で回答したい。ただ、1文を書くのに何十分もかかるのでは、いくら「ACCURACY」が高まっていても、英語が流暢に使えるとは言えません。

そこで、スラスラと英語が出てくるようにするために開発したのがこの「CHAIN OPINION COMPOSITION」というものです。頭文字をとってCOC、日本語では「連鎖意見英作文」といいます。

まず、A4判のコピー用紙を用意します。四角形が表に2つ、裏に2つ、全部で4つの四角形が書かれた簡単なものです。一つの題を出しまして、5分間でその題について自由に書きます。

例えば、「授業中にスマホを使ってもいいかどうか」。スマホを使って何か資料を調べましょうというときに、別のものを見る生徒がいるからそれは駄目だろう、とか、検索能力はとても役に立つのでスマホを使ってもいいんじゃないか、というようなことを聞いて書きます。

5分間、一つのブランクにどんどん書いて、5分後にそれを後ろの友達へ渡します。次の友達は後ろに渡します。一番後ろの生徒は、一番前の生徒に自分の紙を渡します。そして2回目ですね。5分間で、友達の英文をさっと読んでまた考えて、また自分の意見を5分間書きます。5分終わりましたらまたローテーションします。これを4回やります。

このときの注意点は、あまり文法のミスにとらわれず、とにかくたくさん書くということです。これを5分間、4回やりますので20分間。自分が書いた英文はすぐ後ろの友達が読みますので、人に対して読んでもらえるような英文を書くのに集中して頑張るわけですね。

(越智)そうですよね。友達に読まれると思ったら、ちょっと頑張ろうと思いますよね。

(今井先生)なおかつ、友達の書いた英文を読んでびっくりするわけです。いつもキャッチボールして遊んでいる友達が、こんな英文を書くんだ、とか。

(越智)確かに。

(今井先生)クラスの中には英検2級・準2級・1級レベルの力を持った子が必ずいるものです。月に1回、教室は席替えをしますので、そういう生徒の英文が、クラス全体に影響を与えます。COCをやるようになると、やはり3ヶ月・6ヶ月・9ヶ月ごとに生徒たちの英語の「FLUENCY」は伸びていきます。

つまり、SSCCとCOCの両方をやっていくと、両方の力が伸びるということです。COC・SSCCについてゆっくり詳しく読みたい・知りたいという方は、最近書いた一番新しい本『新版 英語の発信力を強化するレッスン』に出ていますので、見ていただくと良いかと思います。

 

 

●SSCCの効果

 

(越智)今、SSCCと併せてCOCのご紹介もしていただきましたが、今井先生からもお話があったとおり、正確性を高めるSSCCの魅力には二つあると思います。一つは自分で考えて、自分で書いて、さらに自分で添削して、自分のミスを自分で発見する、というように自主的に学習していける。つまり自己学習力を育むことができる点です。

もう一つは、その後にペアワークで音読をするなど、様々なアクティビティを通して、無理やり覚えるのではなく自然に英語の習得ができる、気がついたら英語が内在化できているという点が、このSSCCの魅力なのかなと思います。

比べてみても、ご覧いただいておわかりの通り、SSCCはいろいろな観点をクリアしている素晴らしいライティング指導で、まさにライティング指導における「コロンブスの卵」だと思います。

 

 
 

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