【第1弾】添削の手間が激減?! 〜生徒の自己学習力を育むライティング指導実践ワークショップ〜

最終更新日:2021年11月19日

今回ゲストにお迎えしたのは、札幌大学教授の今井康人先生。

2014年に新英作文指導法の「SSCC(同時自己英作文)」「COC(連鎖意見英作文)」を開発されました。

そして現在、英語教育を担当される先生方の目下の課題である「添削の手間」を一気に減らしながら、生徒の自己学習力も育むという、今までになかった指導法が全国で注目され広がりを見せています。

そこで今井先生に、ライティング指導のポイントを、実践を踏まえレクチャーしていただきました。

 

※このイベントは2021年10月に開催されたものです。

 

【第1部】「ここが辛いよ、ライティング指導」


 

(越智)本日ご登壇いただくゲストは、札幌大学教授で、同時自己添削英作文「SSCC」を開発された今井康人先生です。第1部では、「ここが辛いよ、ライティング指導」というテーマで今井先生とクロストークさせていただきます。今井先生、よろしくお願いします。

(今井先生)よろしくお願いいたします。

 

◆新学習指導要領から見るライティング指導


 

(越智)クロストークをする前に、新学習指導要領から見るライティング指導について、私の方からお話をさせていただきます。

これまでの学習指導要領は、話すこと・書くことの言語活動や、複数の領域に結びついた活動が適切に行われてこなかったという課題がありました。これらの課題を踏まえて、小中高で一貫した目標を目指し、外国語を用いて何ができるようになるのかという観点から目標が整理され、2020年度から新学習指導要領が開始されております。

実践的コミュニケーション能力を育成するという目標のもと、4技能・5領域のバランスを踏まえて実際のコミュニケーションに取り組んでいける資質・能力を育成していく、という流れになっています。

その上でライティングについては、情報や自分の考えなどを場面や目的に応じて英語で書く能力をさらに伸ばすとともに、その能力を生かして積極的にコミュニケーションを図る態度を目指すというところがあります。

 
 

◆クロストーク「ここが辛いよ、ライティング指導」


 

(越智)このように、新学習指導要領からは実践的コミュニケーション能力を育成するために言語活動に注力していくという方針が強くうかがえますが、現場におけるライティング指導は一体どのような状況にあるのか、二つのトピックに分けて先生とお話ししていきたいと思います。

 

●その① 受験指導以外のライティング指導の型が見えづらい

 

(越智)これまである種「受験はゴール」とされていて、受験のライティング指導にはある程度の型があるように思われる一方、より高度で実用的なライティング指導となるとまだまだ型が見えづらいという現状があると思うのですが、いかがでしょうか?

(今井先生)4技能というものが注目されている中で、ライティングも指導しなければならない状況になってきています。実際指導する場合、大学入試を想定するのであれば、例えば東大・京大の入試に見られるような和文英訳が一つ。それから、あるテーマが出てそれについて書く、自由英作文と呼ばれるものが一つ。大学受験の英作文については、それができるようになればいいので、なんとなくライティングの方向性も見えやすいのですが、普段の授業の中でライティングの指導をどうするかというのは難しいところです。

例えば、「現場で添削しないと駄目なのか」とか。添削は思っている以上に時間がかかりますので、現場の先生方の日常的な忙しさから考えますと、添削を一人一人丁寧に行うのは非常に難しいのです。個別の添削以外に何か良い指導がないかと現場は苦労していると思います。

(越智)具体的には、どういった点に苦労されているのでしょうか。

 
 

(今井先生)僕が高校で38年間教えてきた経験から言いますと、例えば、「今日は頭が痛いので薬が欲しい」と言ってみよう、といった課題に臨む場合、英語で言うのも、英語で書くのも、両方とも発信活動なので、実は脳の使い方は同じなんです。

生徒は、日本語をそのまま英語に直そうとするのですが、日本語と英語では語順が全く違います。それを念頭に入れて英語を作っていくと、実はその文法や語法といった英語のルールを意識した中で英語を作っていく、あるいは変えていくということが大事になってきます。

その指導をする際、文法的な説明を何十分も話して「はい、わかったか」と言ったところで、説明だけでは生徒にはわからないものです。「実際に書いてみよう」「実際に言ってみよう」というアウトプットをして、初めてできるようになっていく。しかし、これを35人、40人学級の中で1人の先生が行うのはとても大変なことです。ライティング指導、スピーキング指導は大変だというのが現状だと思いますね。

(越智)先ほどの学習指導要領にもありましたが、以前は書くことがあまり重要視されていなかったといいますか、現場としても「聞く」「話す」「読む」の指導までで精一杯だったのかなと思います。そこにプラスアルファで「書く」という指導が急遽求められるようになってきた、というように感じられるのですが、先生その辺はいかがでしょうか。

(今井先生)本当にその通りだと思います。文部科学省や教育委員会、あるいは保護者・生徒のニーズとして、「4技能バランスよく英語を使えるようになりたい」という声が高まってきたことで、ライティング指導をどうするべきかという課題も大きくなっています。

先生方も生徒のためにいろいろなことを考えて実践しているものの、「これでいける」と手応えを感じられるものが今ひとつ見つからないというのが現状でしょう。

(越智)おそらく、本日参加されている先生方も画面の向こうで大きく頷いていらっしゃることと思います。

 

●その② 添削指導の増加

 

(越智)そういう背景で添削指導が増えて、同時に先生方のご負担も増えていることと思います。実際にライティング指導をされている先生方の現場の声や状況は、先生からご覧になっていかがですか。

(今井先生)なぜ「ライティングといえば添削指導」になっているかというと、英文がうまく作れない・ミスをするというのは、その生徒によって違うのです。みんなが同じミスなら一斉指導を何回かやれば済むのですが、一人一人のミスするポイントが違うので、一斉指導でできる部分と、個別に指導が必要な部分が出てきます。

いつも動詞の時制で間違う子、三単現のSがいつも落ちる子、単語のスペリングが全然書けない子、逆にものすごくかける子。教室の中でもできる子・できない子の差が広がり、なおかつその中でもミスするポイントが全員違うとなると、「添削しかない」という結論に着地してしまうのです。

(越智)私自身も学生の頃を思い出すと、先生にライティング指導を受けたいけれども他の生徒の指導もある、という状況を体験した覚えがあります。やはり先生方はお忙しいので、一人一人に合った指導をするのは現状として本当に難しいな、というのを感じます。

今お話があったとおり、直接指導には、生徒一人一人の苦手な部分にフォーカスできるというメリットがありつつも、やはり時間がかかってしまうのは大きなデメリットです。

その点をクリアするために、今いろいろなサービスが出ていますね。例えば、このオフショアサービスは実際に外注して添削をお願いするというサービスです。

 
 

そうすることで、先生方の負担が圧倒的に減るというメリットがありつつも、ただ費用がかかってしまったり、実際に添削をお願いしても早くて1週間、サービスによっては2、3週間かかってしまったりするので、すぐ生徒たちに英語の実力がつくとは言いがたいとも感じてしまいます。

また、すぐに添削できるという点で、AIの添削サービスは強いメリットだと思いつつも、まだ精度としては不十分な部分があるので、やはり先生方の手間や費用、各項目から見てもそれぞれ一長一短というところが現状かと思います。

 
 

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